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『東京貧困女子。』中村淳彦さんインタビュー 「貧困を消費するな」批判をどう考えるか

 漫画にも描かれているように、日本経済が地盤沈下し、親たちが将来の生活に不安を抱えていることも大きい。

「リストラが蔓延して、年功序列もなくなり、将来どうなるかわからないから、親も自分の生活のほうが大事になる。奨学金という制度があるんだから、成人した子どもは自分で何とかしてほしい、ってなる。

『若いころの苦労は買ってでもしろ』とか、バイトで稼いで勉強するのを美談にする風潮がありますけど、いまの若い子たちが本当に厳しい状況に置かれていて、パパ活とか風俗でなんとか切り抜けるのがかなりふつうのことになっちゃってるのに、親や祖父母の世代は子供や孫にそんなことさせてるなんて夢にも思ってないんじゃないですかね」

 貧困女子たちを金の力で自由に扱う中高年男性を「できるだけ気持ち悪く描く」のは、中村さんのリクエストだったそうだ。

「これまで200人ぐらい、パパ活をしている子に話を聞いてきましたけど、ちょっとびっくりするぐらい、父親世代の男性のことを嫌ってるんです。ぼくの世代だと、年上の男性が好きって女の子もいたと思うんだけど、総じていまの子たちは、心の底から嫌っているように見える。それはたぶん、自分たちが苦しんでいることへの無理解があるからだと思います」

【プロフィール】
中村淳彦(なかむら・あつひこ)/1972年生まれ。ノンフィクション作家。当事者以外から見えづらくなっている社会問題を可視化するために、貧困、虐待、精神疾患、借金、自傷、人身売買、介護、AV女優、風俗など、さまざまなフィールドで取材をする。著書に『名前のない女たち』シリーズ、『東京貧困女子。』『崩壊する介護現場』『日本の風俗嬢』『パパ活女子』など。最新著書は『悪魔の傾聴 会話も人間関係も思いのままに操る』。

取材・構成/佐久間文子

※女性セブン2022年11月10・17日号

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