生命保険料は「マイホームの次に高い買い物」と言われる。何十年も続けているとその支払いは数百万円を超えることもザラ。では、それに見合った保障を受けられているのだろうか。定期的な保険の見直しを忘れないようにしたい。
実際、病気やけがなど「もしものリスクに備えましょう」と言われて加入したまま、ほったらかしにしている保険がないだろうか。辛口保険評論家でファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんが言う。
「医療保険に入っていても学費には使えませんし、死亡保険の場合は亡くならない限り保険金は支払われません。毎月保険料を払い続けるより、むしろ同じ額を貯蓄や資産運用に回した方が、あらゆる『もしも』に対応できます。保険は大きなトラブルに遭ったときに『保険金』という形で解決してくれるもの。ただし、その契約に合ったトラブルにしか対応できません」
家庭でもっとも大きなトラブルは、やはり大黒柱である世帯主が亡くなること。オフィスバトン「保険相談室」代表の後田亨さんは、保険が効果的なのは「あまり起きないであろう、大きな損失」のみだと話す。
「小さな子供がいる世帯主が、突然の事故で急死するなどの事態です。現役世代がこうしたリスクに備えるために生命保険に入ると、死亡率が低い期間だけ加入することになるので、安い保険料で大きな保障を得られます」
子供1人あたりにかかるお金は、小学校から4年制大学(私大文系)までで約1000万円。生活費も含めると約2000万円は必要とされる。学資保険は、親が亡くなると保険料の支払いが免除され、予定通りの金額を受け取ることができる。しかし、だからといってお得というわけではない。
「学資保険が有用だったのは、金利が高かったバブル期の話です。いまの戻り率は、高くても109%ほど。年利にすると約0.9%です。“自分の親が入っていたから”などと、深く考えずに加入しないように。学資保険は毎月の保険料を“強制的”に積み立てられるので、貯蓄が苦手な人が“引き出せない預金”として使うのはいいかもしれません」(長尾さん)