生命保険の保険料は、毎月払い続けると一生涯では膨大な出費になる。物価高で家計が圧迫される今こそ、その保険が本当に必要なのか、見つめ直す必要がある。
たとえば「解約時に一定額のお金が払い戻される」という「貯蓄型」の保険も、決してお得というわけではない。オフィスバトン「保険相談室」代表の後田亨さんが説明する。
「保険の長所は、仮に1000円しか保険料を払っていなくても、万が一の際には数百万~数千万円という大金が支払われることです。ということは、自分で積み立てたお金が払い戻される貯蓄型の保険は、保険ならではの利点がありません。保障と貯蓄を兼ね備える保険もありますが、販売手数料が高く、これも貯蓄には不利なのです」
「何十年も積み立ててきたのだから、ここでやめるのはもったいない」と思うかもしれないが、それでも、解約に向けて見直しを始めたほうがいいという。辛口保険評論家でファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんが言う。
「掛け捨てのものなら、加入年数に関係なく、すぐに解約しても損になることは少ないでしょう。特約で契約している定期保険や医療保険、介護保険などは、掛け捨てのことが多い」
後田さんは、保険の解約に踏み切れないときは「いまからこの保険に新規契約するか?」と考えるべきだと話す。物価高が続いているいまこそ、実は保険見直しの絶好のタイミングだ。家計が不安だからこそ、保険に飛びつくのではなく、ムダな保険に入っていないか見直すことが大切だ。
「預貯金、国や勤務先からの給付金など、使えるお金と利用できる制度をすべて確認して、それでも足りないときに、どんな保険が必要になるかを考えれば、余計な保険が見えてくるはずです」(後田さん)