投資情報会社・フィスコが、株式市場の10月24日~10月28日の動きを振り返りつつ、10月31日~11月4日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は週間で214.62円高(+0.80%)と3週ぶりに反発。ただ、一時26週移動平均線を上回ったものの、終値では6週連続で同線下で終了。ローソク足は4週ぶりに陰線を引いた。
前の週末にウォールストリート・ジャーナル紙が、連邦準備制度理事会(FRB)が11月連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75ptの利上げを行った後、利上げペース減速を協議する見込みと報じた。先週は日米ともに決算ウィークだったが、12月FOMCでの利上げ幅縮小の思惑が週を通して相場を下支えした。
日経平均は週明け24日から26日まで3日続伸。3日間の上げ幅は500円を超えた。FRBの利上げペース減速期待に加え、英国でスナク元財務相が次期首相に就任する見通しとなり、同国の財政不安が後退したことが支援要因になった。また、週半ばには米10月消費者信頼感指数の悪化を背景に高止まりしていた米10年債利回りが大きく低下したことも安心感を誘った。
一方、米IT大手の決算が週を通して全体相場の重石となった。GAFAM決算は週後半に発表されたアップルが相対的にましな決算となったが、それ以外は総じて市場の期待値に未達で米ナスダック総合指数の大幅下落に繋がり、東京市場の重石としても働いた。特に先行投資やコストの増加が嫌気されたメタ・プラットフォームズやアマゾン・ドットコムの株価下落が相対的に大きく、投資家心理の悪化に繋がった。ただ、今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に持ち高を傾ける向きは少なく、下値も限定的となった。
今週の東京株式市場は強含みか。11月1日からFOMCが開催される。上述のウォールストリート・ジャーナル紙の報道に加えて、その後のサンフランシスコ連銀のデーリー総裁やセントルイス連銀のブラード総裁の発言の変化もあり、今会合では次回の12月会合での利上げ幅の縮小に向けた議論が行われる見通しだ。
一連の流れを受けて、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込むターミナルレート(政策金利の最終到達点)は一時2023年の3-5月時点で5.0%を超える水準にまで及んだが、その後、10月28日時点では同時期で4.7%強にまで低下した。このように、ある程度は織り込み済みではあるが、FRBが利上げ減速の明確なシグナルを送れば、市場は素直に好感するだろう。その場合、特に指数のショート(売り持ち高)が積み上がったままの米株式市場を中心に買い戻しが入りそうだ。東京市場でも、一時大きく積み上がっていた裁定買い残は大方解消された。年始からの海外投資家の先物ポジションがややネットショートに傾いていることを踏まえると、上方向に振れやすいと推察する。
一方で、上昇したとしても短期的なものに終わる可能性には留意しておきたい。理由は主に二つある。一つ目はスケジュール。今週末は米10月雇用統計の発表を控える。FRBが利上げ減速への地ならしを始めたとはいえ、依然としてデータ重視の姿勢は崩しておらず、今後も予想を上回る強いデータが多く出ると再び金融引き締め懸念が強まりかねない。特に、労働市場の逼迫に起因した賃金インフレが一番根強くFRBを困らせているため、雇用統計の注目度は非常に高い。そのため、指標を確認する前に大きく買い上がる向きは少ないだろう。翌週の8日には米中間選挙も控えているため、イベント前に持ち高を傾けることは考えづらい。