円安や燃料高騰に伴う光熱費の上昇が止まらない。政府は電気・ガス料金に対する激変緩和措置の導入を目指すが、岸田文雄首相は2023年春以降の電気代が「一気に2~3割上がる可能性がある」と話している。
大手ガス各社も原料の液化天然ガス(LNG)価格の高止まりに耐えかね、値上げに踏み切る方針だ。東京ガスは原料価格の変動分を一定額までガス料金に転嫁できる上限価格にメスを入れ、今年10月から来年3月まで段階的に引き上げる。7月の平均的な家庭の月額料金の上限は5886円だったが、来年3月には7613円になる。
過去最高水準の光熱費高騰をどう乗り切るか。
「ガス代が高くなる冬こそ“節ガス”が重要です」と語るのは消費生活アドバイザーの丸山晴美氏。なかでも「節約の主戦場は浴室」と指摘する。
「水温が下がる冬場は給湯に必要なエネルギー消費量が増大するため、ちょっとした工夫が月々の料金を大きく左右します。東京ガスは、浴槽のフタを閉めるだけで年間2436円が節約可能と算出しています。また、追い焚きが不要になるよう、時間を空けず次の人が入浴すれば、さらに年間1914円の節約が見込めます」(以下、「 」内は丸山氏)
節約のため、シャワーだけで済ますのは逆効果になりかねないという。
「冬場は冷えた体をシャワーで温めようとして使用時間が長くなりがちですが、15分使うと浴槽約一杯分相当の湯量になる。湯船で体を温めてからシャワーでさっと体を洗い流すほうが経済的です。また、節水用のシャワーヘッドに交換すると、4人家族で5分ずつ使用した場合、年間約7500円の節約になります」
節電対策では、暖房器具や生活家電の使い方がポイントとなる。
「暖房の温度を上げると光熱費がかさむため“暖房効率”と“体感温度”を上げることを意識しましょう。大きな窓があるリビングなどでは、カーテンをしっかり閉めること。(カーテンと)床との隙間に丸めたバスタオルなどを置くと、より効果的です。また、室内に洗濯物を干すことや、湯上がりにドアを開けたままにすることで電気やガスを使わず加湿効果が得られ、体感温度が上昇します。湿度は60%が目安です」