波の運動エネルギーを活用して電力を生む「波力発電」は、太陽光や風力に比べて発電の安定性が高く、面積あたりの発電量も大きい。再生可能エネルギーの中でも高いポテンシャルを秘めているが、大波による破損などでメンテナンスが高くつくほか、漁業権などの問題で設置場所が制限されるという問題がある。
そこで、再生可能エネルギーの技術開発を行なうグローバルエナジーハーベストが手がけているのが、港の岸壁などに設置して発電する「往復型回転加速式発電装置」だ。同社代表取締役・速水浩平氏が語る。
「波は海面で上下しますが、その力を利用し、フライホイール(円板)を回転させて発電機を回します。1台あたりの発電量は少ないですが、装置は小型で港の岸壁などに複数台設置できるので、一定の出力が確保できます。
海上に設置しないので漁業権への支障も少なく、大波をかぶらないのでメンテナンスも安くなります。2025年の実用化を目指し、将来的には発電コストが火力よりも安くできると考えています」
同社は年間20基のペースでの増産を目指しており、離島でのビジネスモデルも計画している。安定してエネルギーを確保する手段として、今後注目が高まることが期待される。
撮影/古川章
※週刊ポスト2022年11月18・25日号