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厚生年金の適用拡大でパート妻“年収106万円の壁”を超えない働き方に限界 しっかり働くほうが得策か

女性は平均寿命が長い

 図は妻の働き方によって年金受給額がどう変わるかを示したものだ。60~70歳まで働くと仮定した場合、壁を越えないよう年収105万円に抑えると受給額は年77万7800円ほどになる。

 しかし、壁を突破して年収120万円で働けば年金受給額(70歳時点)は年額約6万6000円も増え、年収240万円ならさらに年額約6万5500円多く受け取れる。年収105万円と同240万円の場合を比較すると、受け取れる年金額には年額13万1500円ほどの差が出る。

 会社勤めを続けてきた男性の場合、60代からの収入アップはハードルが高いが、パート勤めであれば比較的収入を増やしやすいため、男女で戦略に違いが生じると言えよう。しかも、女性のほうが払った保険料の“元を取れる”可能性が高い。

「女性は平均寿命が88歳で男性(81歳)より大分長生きなので、支払った保険料が取り戻せる望みは男性より高い。働き方をコントロールして収入を抑えるくらいなら、働けるうちにしっかりと働いて、今後の受給額を少しでも増やすほうがメリットは大きいと思います」(前出・清水氏)

 また、結婚前に年金未加入期間があったり、結婚後も1986年の第3号制度創設の前に国民年金保険料を納付していなかったりして、60歳時点で国民年金の加入期間が40年に届いていない女性も多い。その意味でも、60歳以降に働いて年金を増やすことのメリットは大きいと言えそうだ。

※週刊ポスト2022年11月18・25日号

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