現役世代の多くは老後資金をどう増やすか、年金を少しでも増やせないかという視点で考える。
年金をもらいながら働くという選択を考えている人も、給料収入があるうちはまず住民税非課税に該当することはないため、完全リタイアして年金生活に入った時のことは想定していない人がほとんどだろう。
だが、もらえる年金額が211万円の壁を越えるかどうかは年金生活を大きく左右する要素だ。
毎年送られてくる「ねんきん定期便」の葉書(35歳、45歳、59歳は封書)には、これまでの加入実績に応じた将来の年金額が書かれている。
それを参考に、壁をギリギリ越えそうな人は、60歳を前に「年金を減らす」受給方法を選択することを検討してもいい。
たとえば、「繰り上げ」受給を選択すれば、受給開始年齢を65歳から1か月早めるごとに年金月額が0.4%下がる。これを利用すれば年金額を調整することが可能だ。
年金を増やすことばかりに目が行くと、いざ年金生活に入った時、せっかくの非課税世帯の恩恵をみすみす手放すことになりかねない点には注意する必要がある。
※週刊ポスト2022年11月18・25日号