学校行事の中でも、特別なイベントである修学旅行。国内外の名所で実体験を通して見聞を深められるだけでなく、クラスメイトたちと一日中行動をともにすることで、共通の思い出を作ることもできる。コロナ禍では修学旅行を中止する学校も少なくなかったが、最近では時期を変更するなどして実施するケースも増えているようだ。とはいえ、学校生活の一大イベントとして楽しみにしている人がいる反面、「修学旅行に行きたくなかった」「行きたくない」という人も少なからずいる。高校時代「修学旅行が憂鬱だった」という人たちに、当時の思いを振り返ってもらった。
思い出がないのが思い出かも?
「正直、修学旅行には行きたくなかったけど、行くしかなかった」と振り返るのは、20代女性・Aさん(メーカー勤務)だ。修学旅行で奈良・京都に行った高校生当時の心境を振り返る。
「クラスに仲が良い子がいなかったので、いつも教室では“ぼっち”。愛想笑いでしのぐ日々でし、グループ別行動は本当に憂鬱でした。普段からつらいのに、なんでわざわざ旅行まで一緒じゃなきゃいけないのか……。バスや新幹線の座席で長時間過ごすことや、決まった時間に一斉にお風呂に入るなど、想像しただけで息苦しくなりました。でも、私だけ修学旅行に行かないと、その後本当に“空気”扱いされそうな気がしたので、我慢して行くしかありませんでした」(Aさん)
Aさんは、「一人が楽なんだけど、一人ぼっちになることが怖いので、我慢してでもみんなといる、一緒がいい、みたいな矛盾した感情がありました」と述懐する。
「もちろん、集団生活を送ることで学ぶものはあると思いますし、学校によって修学旅行のあり方も違うと思います。でも私の通っていた学校は、とりあえず先生が生徒をお寺や各名所に輸送し、無事に帰ってくることがミッション、みたいな感じでした。よくわからないまま連れ回されて帰ってきただけです。何か思い出があるかといわれたら……うーん、本当に何も思い出せません。思い出がないのが、思い出かもしれません……」(Aさん)