ユーキャンが実施する2022年の「新語・流行語大賞」の候補30が発表された。「オミクロン株」や「顔パンツ」など新型コロナに関するものから、「国葬儀」や「宗教2世」など世相を騒がせた言葉まで、幅広く取り上げられている。食品ロス削減を意識した購買行動を促すキャンペーン用語「てまえどり」も候補となった。食品ロス削減は社会全体で取り組むべき課題だが、闇雲に「てまえどり」しておけばOKというわけではないだろう。なかには逆に食品廃棄につながってしまうケースもあるようだ。「てまえどり」の意義を考えるきっかけとすべく、ある夫婦の買い物実例を紹介しよう。フリーライターの吉田みく氏がレポートする。
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食品ロス削減を目指し、購入してすぐ食べる場合、賞味期限の迫った商品を積極的に選ぶ「てまえどり」が買い物客に呼びかけられている(消費者庁、農林水産省、環境省)。多くの消費者に認知された結果、この言葉が2022年の「新語・流行語大賞」にノミネートされた。
しかし、埼玉県在住のパート主婦フミコさん(仮名、42歳)は、「てまえどり」がきっかけで夫婦喧嘩になったという。フミコさんは夫と小学生の2人の子供の4人家族だ。
「購入してすぐに使う食材は“てまえどり”を心がけていますが、ストックしておきたい牛乳や卵などは賞味期限がなるべく長いものを選んでいます。もちろん、食品ロスを減らすことは大事ですから、私なりには意識して生活しているつもりですが、夫からすると“甘い”ようです……」(フミコさん、以下同)
フミコさんとしても、時間と気持ちに余裕があれば毎日買い物へ行き、その日に必要なものを厳選して買い物したいと考えている。しかし現実は、週4日は事務職のパートで働き、子育てもしている。最近は子供たちの習い事の送り迎えも増え、ゆっくりする暇はほとんどないという。週2回の買い物で食材をまとめて購入するため、時には冷蔵庫の中で賞味期限が切れてしまう食材もあると話していた。
そんなフミコさんの頭を悩ますのが、夫のこんな行動だという。
「夫はその日の気分でスーパーに寄り、晩酌のお供に好きな惣菜を買ってきます。時には私に代わって買い物をしてくれるのでありがたいのですが、賞味期限が迫り値引きシールが貼られた牛乳1リットルを2本買ってきたことがあり大変でした。納豆、ヨーグルト、パンも賞味期限ギリギリのものばかり選ぶし、見切り品の野菜を大量に買ってきたこともありました」