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ルール変更が確実視される「相続時精算課税制度」の落とし穴 国が狙うは「相続と贈与の一本化」か

「相続時精算課税制度」が利用しやすくなる反面、注意点も(イメージ)

「相続時精算課税制度」が利用しやすくなる反面、注意点も(イメージ)

 2019年、IMF(国際通貨基金)が2030年までに日本の消費税を段階的に15%に引き上げるよう提言した。2030年までは、あと7年2か月ほどしかない。ただでさえ物価が上がり続けているいま、自分たちの生活を守ることはもちろん「持っている資産をいかに多く子供や孫に残すか」も、大きな課題になっている。

 その「生前贈与」を、急がなければならないかもしれない。12月には、2023年度税制改正大綱が発表され、ここで生前贈与のルールが大幅に変更される見込みなのだ。いまは政府と与党の税制調査会で検討が進められており、もし実際に制度が改正されれば、これまでは利用できた「非課税枠」や「相続税対策」が使えなくなるかもしれない。

 現在確実視されているのが、「相続時精算課税制度」の変更だ。相続時精算課税制度とは、60才以上の親または祖父母から、18才以上の子や孫への贈与が、最大2500万円まで非課税となる制度のこと。相続実務士で夢相続代表の曽根惠子さんが説明する。

「2022年11月現在、相続時精算課税制度を利用する際は、贈与した翌年に確定申告をしなければなりません。これが改正後は、確定申告が不要になるのではないかといわれています。すると、手間が省ける分、いままで以上にこの制度を使っての贈与がしやすくなる。

 日本の個人金融資産は高齢者に偏っているため、それを積極的に若い世代に渡すよう促すことで、経済を活性化させることが、ねらいの1つでしょう」

 だが、ここには“落とし穴”がある。相続時精算課税制度は「贈与税」こそ非課税になるが、贈与した祖父母や親が亡くなると、贈与した分は子や孫の相続財産に「持ち戻し(加算)」され、相続税がかかるようになる。つまり、相続税を先送りするだけの制度なのだ。

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