処理総額は家賃の1年分程度
処理自体は1~2時間、長くても3時間以内には終わるというが、消臭だけは一晩かかることもあるという。
「故人の嗜好品や体格などにより、発生するにおいとその濃度は違う。消臭には高濃度のオゾン燻蒸装置も使用します」
ここで重要なのは、処理前に家具の搬出をしないことだ。
「家具の運び出しをしてしまった現場を見たことがありますが、遺体跡を踏んだ靴で歩き回り、廊下やエントランスなど共用部分にまで体液を広げてしまっていました。そうなると消臭すべき範囲が増えてしまう。何より遺体跡を踏むことは亡くなったかたの尊厳を損なうと考え、当社では避けています」
佐々木さんの会社では、遺体跡のついた布団は供養してから処分しているという。この1次処理を早く、かつしっかり行わないと建具や建材ににおいの発生源がこびりつき、永久に不快なにおいを発し続けるそうだ。続いて行うのは「2次処理」。
「ご遺体が腐乱していた場合、漏れた液体が床にしみ込んでいるのでその部分を除去します。床下や梁にしみていると、床だけを替えてもまたにおいが残ってしまう。そのため、しみた範囲の木材を削るなどの処置をしていきます。その先はリフォームをして原状回復することになります」
かなり専門知識が必要な作業になる。となれば、やはり気になるのはお値段だ。
「1次処理が7万~10万円、2次処理が25万~35万円ほど。リフォームはピンキリで、床をそのまま張り替えるのとパネルで埋めるのでは値段が大きく変わります。総額としては家賃の1年分程度、100万から200万円ぐらいの金額です。ご遺族がいる場合は大家さんがご遺族に請求しますが、故人が天涯孤独の場合は大家さんの負担となり、気の毒なケースもあります」
※女性セブン2022年12月1日号