かつて麻雀といえば、頭に思い浮かぶのは「タバコ、ギャンブル、徹夜」といった、ネガティブなイメージも強い娯楽だった。だが、ここにきてそうしたイメージが変化しつつあるようだ。「レジャー白書2022」によると、麻雀の市場規模(ゲーム料)の推移は2010年の640億円からほぼ右肩下がりで、コロナ禍の2020年には320億円まで激減した。だが、翌2021年には350億円と若干ではあるが市場は拡大しており、「麻雀離れ」に歯止めがかかりつつあるのかもしれない。
2018年には競技麻雀のプロリーグ「Mリーグ」が発足するなど、メディアで取り上げられる機会も増えており、今や麻雀は一部若者たちから「かっこいい」「感動できる」「憧れる」とまで言われているようだ。最近、麻雀を始めたという若者たちに、そのきっかけを聞いてみた。
スマホゲームでルールを覚えた
20代男性・Aさん(メーカー勤務)が、最初に麻雀に興味を持ったきっかけは「漫画」だった。特に好きなのは、『哲也~雀聖と呼ばれた男~』『アカギ~闇に降り立った天才~』『咲-Saki-』の3作。
「麻雀はやったことないけど、麻雀の漫画やアニメが好きでした。『哲也』のイカサマ、『アカギ』の心理戦、『咲』の異能力バトルと見事にすみ分けされ、どれも大好きです。特に『咲』は麻雀のルールを知らなくても、スラスラ読めてキャラクターも可愛いので夢中になりました。ちなみに僕は、一巡先から最高三巡先まで見える予知能力キャラが好きです」(Aさん)
麻雀は漫画を読むだけで、学生時代までやったこともなかったが、やってみたいと思うようになったのは、スマホゲームの影響が大きかったという。
「『雀魂(じゃんたま)』というスマホゲームにハマりました。『咲』とコラボしていたので、興味を持ったんです。麻雀のルールは全然わからなかったんですけど、ゲーム内の説明が丁寧で詳しいので初心者にも優しい。同時に牌の読み方や役の名称などを、ノートに書いて覚えました。漫画に出てくるセリフで、『一発ツモ』や『嶺上開花』『清一色』『ドラドラ』など、麻雀用語の意味がわかり、楽しかったです」(Aさん)
スマホゲームで覚えた麻雀は、職場でのコミュニケーションに役立っているという。
「飲み会で40代の上司に、麻雀ができると知られると、『お、麻雀できるのか』とうれしそうで、最近、上司とリアルで麻雀をするようになりました。ゲームではなくリアルの麻雀牌に触れるのは新鮮でした。作法や点数計算は苦手ですけど、対面でのコミュニケーションはやっぱり楽しいですね。その上司には仕事面はもちろん、麻雀の強さにも憧れています(笑)」(Aさん)