「ここからここまでください」で700万円分
Bさん(20代/女性)が働いているのは、デパート内のセレクトショップ。ハイブランドを集めた展開で、一点数十万円という高額商品も珍しくない。
「何百万円という単位で買っていかれる方が、何人もいらっしゃいます。もう金額も商品もろくに見ていなくて、『ラックのここからここまでください』みたいな感じ。翻訳アプリを使うので、コミュニケーションに大きな問題はありません」(Bさん)
やはりコロナ前のインバウンドと同じか、あるいはそれ以上の勢いを感じている。
「先日は700万円分買っていかれた中国系の方がいましたね。同じブランドのものでも、うちで買うとデパートのポイントが貯まるので、なるべくここで買いたい、と言っていて、なるほどと思いました。
もちろん、たくさん買っていただけるのはありがたいのですが、洋服を雑に扱うお客さまもいるのは、正直気になります。スナックを食べながら入ってきて、ポロポロ落としながら歩くとか、洋服を投げ捨てるように扱うとかですね。国によって“当たり前”は違うということは理解していますが……」(Bさん)
ドラッグストアに中国人のバスツアー
ドラッグストアで働くCさん(30代/男性)も、爆買いの復活を実感する。
「中国の方たちの、バスツアーが復活していますね。皆さん大きなキャリーケースを引っ張って、買い物に来られます。それ以外には、韓国の方も多い印象です。
医薬品はもちろん、コスメ、お菓子など、買うものリストはすでに用意している方が多く、スマホの画面を見て確認しながら商品を手に取っています。コロナ前からそういったお客様はいらっしゃったのですが、ここ数年のコロナ禍ですっかり消え、僕も存在を忘れかけていました。規制緩和と円安で、お客様が戻ってきたことを感じますが、一方でコロナの感染者数は増えているので、気をつけなくてはという緊張感もあります」(Cさん)
爆買いの復活は嬉しい悲鳴ではるものの、頭を抱えていることもある。
「大きな声を出したり、狭い通路にキャリーケースを置いたりされるので、店員としては他のお客様にご迷惑にならないように“交通整理”を心がけています。あと、医薬品に限っていうと、本当に必要な方がほしいときになくなるのは困るので、仕入れ量にも気を遣いますね」(Cさん)
コロナ禍の3年弱を経て、インバウンドの爆買いは着実に復活しつつあるようだ。(了)