そうした銀行の経営姿勢の影響は様々なところに及びかねない。
昨年2月末に発生したみずほの大規模システム障害は、預金通帳の有料化に移行するためのデータ更新が遠因だったと報じられた。1年以上記帳のない既存口座を自動で電子通帳に切り替えるための作業が影響し、システム障害に陥ったという。
経済ジャーナリストの須田慎一郎氏が言う。
「硬貨預け入れの有料化後、代金を小銭で受け取ることの多い街の小さな商店が非常に困っている話をよく聞きます。銀行は、システム維持や通帳の発行にコストがかかる割にメリットの少ない個人客に冷淡な印象がある。しかし本来、預金・為替・決済の3大業務を独占的に認められた銀行には、そのサービスを公平公正に提供する社会インフラとしての義務があるはず。今の銀行がその役割を十分果たしているとは思えません」
※週刊ポスト2022年12月9日号