年末年始の恒例行事である忘年会や新年会が、コロナを機に大きく変化している。10月、東京商工リサーチが全国の企業4611社を対象に行った忘年回・新年会に関するアンケートによると、今期は60.9%の中小企業が「開催しない」と回答した。昨年より9.0ポイント減少したものの、全国6割超の企業が今年も開催を見送るという。背景には、コロナ禍で定着した感染予防と若者の忘年会離れがあるようだ。開催する企業が少数派となるなか、忘年会の復活を決めた会社では、コロナ前にはなかった課題に直面する幹事もいる。今年、職場の忘年会幹事を任されたという30代の男性会社員に、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。
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都内在住の会社員・ユウさん(仮名、31歳男性)は、社内で行われる忘年会の幹事を任され、疲弊していることを話してくれた。
「コロナの影響で今まで見送ってきた忘年会が今年は3年ぶりに開催されることになりました。最年少の私が幹事を任されたのですが、気を遣うことばかりで大変です……」(ユウさん、以下同)
ユウさんの会社は建築資材を扱う中小企業で、従業員は30人ほど。年齢層は50代が中心、職人気質の人が多く、コミュニケーションがうまく取れないこともあるという。
忘年会の開催を決めたのは社長(40代男性)で、社内の親睦を図るために行うとのことだった。「社長は思い付きで物事を話す性格のため、振り回されることが多い」(ユウさん)そうだ。
「お店選びは気を使いました。『足が悪くて座敷席は座れない』とか『油っこい食事は食べられない』など色々と注文が多いので探すのが大変でした。予算も高すぎては文句がでるため、コース料理と飲み放題で5000円を目安に探しました」
社員の意見を取りまとめるのに苦労したと語るユウさん。とはいえ、どんなに配慮してお店を選んでも文句を言う社員が必ずいるため、最終的には社長に決めてもらったそうだ。
そして一番頭を悩ませたのが、社員全員、一人ずつ行う出欠確認だった。コロナが収束していないこともあってか、「出席する」との返事は9名のみ。大体の社員は期日までにきちんと返事をくれたものの、対応に困る50代の社員が2名いたという。