では、仮に月収8.8万円(年収106万円)のパートタイマーが厚生年金に加入することとなれば、手取りはどれくらい変わってくるのでしょうか。
8万8000円の給料から厚生年金だけで約8000円、その他を含めると月額で1万4000円近く天引きされ、手取り額は7万4000円ほどになってしまいます。
これに対して、将来的にもらえる年金額は年額5万5000円増えます。10年間働いて納める保険料の金額は約100万円ほどです。つまり、もとを取るには約18年もかかるわけで、65歳から受給して83歳でようやくもとが取れることになります。もちろん、それでもいいという人もいるかもしれませんが、その一方でいますぐ手取りが増えたほうがいいという人も少なくないのではないでしょうか。
とはいえ、多くのパートタイマーが保険料を天引きされる時代は、間違いなくやってきます。対策としては単純ですが、これまで所得税のかからない“103万円の壁”や厚生年金に加入しないで済む“106万円の壁”などを意識して働く時間を抑えていた人は、もっとたくさん働くようにすることをおすすめします。結果的に手取りも増えて、将来の年金も増えるからです。
少子高齢化のなかで、年金制度はどんどん変わっていきます。私たち国民は、それを知ったうえで有効活用するしかありません。
(了。第1回から読む)
【プロフィール】北村庄吾(きたむら・しょうご)/1961年生まれ、熊本県出身。中央大学卒業。社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャルプランナー。ブレイン社会保険労務士法人 代表社員。YouTube「年金博士・北村庄吾の年金チャンネル」で、「年金! 天国と地獄」(https://youtu.be/W8CCJP0WipM)を配信中。