政府が進める防衛費増額の財源をめぐって、様々な意見があがっている。岸田文雄・首相は「今を生きる国民が自らの責任としてその重みを背負って対応すべきものだ」と述べ、その財源を増税によって賄う方針が示されている。自民党の税制調査会では、法人税、たばこ税、復興特別所得税の3つを組み合わせる増税案が示されているが、防衛増税自体に反発する声が高まるなか、ネットユーザーを中心に注目されているのは、何かとやり玉にあげられる「たばこ税」だ。
自民党内では、現状、紙巻きたばこより税額が低い加熱式たばこの税を引き上げる案が検討されているという。そもそもたばこは税負担率が高い商品だが、近年、紙巻きたばこは段階的に値上げが行われ、今年10~11月には加熱式たばこも値上げしたばかり。“たばこの増税には文句が出ないだろう”と言わんばかりの強引な案に、喫煙者だけでなく、非喫煙者からも呆れる声があがっている。
喫煙を「させたくない」のか、「してくれたほうがありがたい」のか
メーカーに勤務する40代男性・Aさん(喫煙者)は、「取れるところから取ろうという魂胆でしかない」と呆れる。
「たばこって、ずっと増税され放題じゃないですか? 増税でも屋内禁煙でも、喫煙者はどんなにいじめられても、されるがまま。増税の対象を幅広い国民にすると反発が起きるから、なるべく取りやすいところから税金をしぼり取ろうという魂胆が見え見えです。もうメビウス(旧マイルドセブン)が600円になっても、1000円になっても不思議ではないから、驚きはしませんが、こちらが買わなくなればなったで、他の税負担が増えるだけ。それでいいのか? とは思います」(Aさん)
JTの主力ブランドのメビウスは、1977年6月の発売時には150円だったが、約45年で580円に。2018~2021年は毎年値上げされている。今回のたばこ増税の検討で、600円台突入も現実味を帯びてきた。Aさんが続ける。
「好きで吸っているわけですけど、非喫煙者よりも余分に税金を払っているのも事実です。だから喫煙者にその分、少しは還元してくれてもいいじゃないですか。単純に、もう少し喫煙所を増やしてほしいです。屋内禁煙、路上喫煙禁止条例などで吸う場所がどんどんなくなり、喫煙者は追いやられているのが実情です。法律で禁止されているわけでもないのに、喫煙者の人権は無視されているようにしか思えない。喫煙については、“させたくない”のか、“してくれたほうがありがたい”のか、ほんと意味がわかりません」(Aさん)