その先には、「退職金増税」が控えている。現在の退職金の税制は勤続20年を超えると控除(非課税枠)が大きくなり、長く勤務した人ほど優遇されるが、政府税調では多様な働き方に合わせるという理由で「控除は勤続年数で差を設けず一律にすべきだ」という議論がなされている。そうなると増税だ。
さらに退職金は控除後の金額の「2分の1」に課税されるという税制上の大きなメリットがあるが、これを撤廃する動きも見逃せない。
あまり知られていないが、2021年1月から「勤続5年以下で退職金300万円を超える」人は2分の1課税の恩恵がなくなった。全面的に撤廃されると全サラリーマンは退職金から現在の2倍の税金を取られることになる。
サラリーマンの老後生活の柱となる退職金からまで、税金をガッポリ召し上げようという企みがひそかに進められているのだ。
※週刊ポスト2023年1月1・6日号