2023年のアメリカは、2024年の大統領選を前に「どこまで変わるか」が大きなテーマだ。共和党は親トランプ陣営と反トランプ陣営に二分化しつつある。中間選挙の結果を見る限り、トランプ前大統領は神通力を失いつつあるが、それでも再びトランプに頼るのか、それともデサンティス・フロリダ州知事のような若手が台頭するのか、あるいは保守本流の新たな有力候補が登場するのか──。共和党は百家争鳴状態になる可能性もある。
迎え撃つ民主党のバイデン大統領には、2つの大きなアキレス腱がある。再選時82歳という年齢と、次男ハンター・バイデン氏の「ウクライナ・中国疑惑」だ。
とくに後者は、父親の副大統領在任中、ハンター氏がウクライナや中国の腐敗企業と不透明な関係を結び、父親の政治的影響力を利用して不当に巨額の報酬を得たとされる疑惑であり、共和党が過半数を占める下院で追及されて父親が便宜を図ったと認定されれば、バイデン大統領のレイムダック化が決定的になるだろう。
では、民主党に対抗馬はいるのか? ハリス副大統領は全く存在感がないし、今のところダークホースも見当たらない。ただ、民主党の場合は、クリントン元大統領やオバマ元大統領のようにギリギリの時点で若手候補が躍り出てきたケースもあるので、2024年半ばまで予断を許さない。
日銀「黒田氏退任」でどうなる?
最後は日本だ。岸田文雄首相による「新しい資本主義」という名の“補助金バラ撒き”行政で、日本経済は健全さを失ってますます弱体化している。ここまで経済が停滞すると、もはや大勢は変わりようがない。
2023年の明確な日程としては、4月に日本銀行の黒田東彦総裁が退任する。しかし「異次元金融緩和」の「出口戦略」はなく、後任の総裁も急激な方向転換はしづらいだろう。となると、金利は低いままで円安傾向が続き、実質的には経営破綻していながら利払い猶予(モラトリアム)で経営を続けている「ゾンビ企業」が延命し、2000兆円超の個人金融資産は塩漬けのままになって消費も拡大しないことになる。