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竹下正己弁護士がウクライナ侵攻で痛感 「無法な国に侵略の口実を与えない外交」の重要性

プーチン大統領のウクライナ侵攻は国際法的にどのような問題があるのか(写真/EPA=時事)

プーチン大統領のウクライナ侵攻は国際法的にどのような問題があるのか(写真/EPA=時事)

 2022年もコロナ禍の影響のせいか、決して明るい1年ではなかった。加えて悪い円安は続き、物価高により、どの家庭も悲鳴を上げている状態だ。『週刊ポスト』誌上で読者の様々な“法律のお悩み”に解答してきた竹下正己弁護士は、この1年の中でどのような事件や話題に関心を持ったのか。竹下弁護士に聞いた。

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 ウクライナ侵攻が衝撃でした。国連憲章第2条4項では、いかなる武力による威嚇、又は武力の行使も慎まなければならないと定められ、加盟国は安全保障理事会決定に基づく武力行動のほかは第51条により、武力攻撃を受けたときに、安保理が必要な措置を取るまでの間は個別的、又は集団的自衛の権利を行使できるだけです。

 ロシアは、この第51条の自衛権とウクライナのジェノサイドを侵攻の口実にしますが、ウクライナはロシアに威嚇や武力行使をしておらず、自衛権行使になりません。ロシアが事実上支配していた地域で、ウクライナの武力行使などがあったと仮定してもロシア領内ではなく、自衛とはいえません。

 次にジェノサイド条約は、ジェノサイドをした個人を刑事裁判で処罰するもので、国家が武力介入できる根拠にならず、ロシアの侵攻は、正当化できないのです。

 また、インフラ設備や住宅への執拗なミサイル攻撃は非人道的ですが、1977年に採択され、ロシアも締結したジュネーブ条約の追加議定書が定める軍事目標主義(軍事施設のみを軍事行動の対象とするもの)にも違反しています。

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