7月参院選の勝利で「黄金の3年」を手にしたはずの岸田政権への批判が止まらない。各メディアの世論調査を見ても、内閣支持率は急落。その主たる原因は、防衛費増額のための増税方針だ。与党内からも批判の声が出ているくらいだが、そうした岸田政権の舵取りを“大絶賛”している人たちもいる――。
自民・公明の両党は12月16日に2023年度の与党税制改正大綱をまとめた。今回、焦点となったのは防衛費増額の財源の一部を「増税」によって賄うという岸田文雄首相の掲げた方針だ。2027年度には防衛費をGDPの2%に到達させる構えで、その財源の一部として法人税、所得税、たばこ税の3つの税目の増税で1兆円強を捻出するのだという。
与党内からも拙速な議論の進め方に異論が噴出し、増税の実施時期など詳細については決定が先送りとなった。それでも、物価高が続くなかでの相次ぐ負担増の打ち出しに、ネット上では〈#岸田辞めろ〉〈#岸田に殺される〉などのハッシュタグが拡散された。
大手メディアの世論調査でも、内閣支持率が下落する流れは鮮明だ。毎日新聞の調査(12月17、18日実施)では支持率25%となり、前回から6ポイント下落した。不支持率は7ポイント増加して69%に到達。同じタイミングで実施された朝日新聞社の調査でも、前回から6ポイント下がっての支持率31%となった。
いずれの調査でも防衛費増額についての賛否は拮抗していたものの、その財源として1兆円の増税となることについては7割近くが反対の意見を示した。値上げラッシュが続くなかでの「防衛費増税」が国民にとって受け入れがたいものであるのは当然だろう。
増えた予算で新たな兵器を購入してもらえる
そうしたなかで、与党税制改正大綱が発表された12月16日に岸田首相を“絶賛”した人たちがいる。同盟国である米国政府の最高幹部たちだ。ツイッターなどで相次いで称賛コメントが投稿された。
同日には国家安全保障戦略(NSS)など安保関連3文書が閣議決定されている。NSSでは、日本を取り巻く厳しい安全保障環境があることから、相手の領域内を直接攻撃する「反撃能力」を保有するとした。2023年度からの5年間での防衛費を現行計画の1.5倍以上に相当する43兆円とすることなどが盛り込まれている。