試乗してわかるフィーリングの良さ
実際の試乗ではRSと2.5L車を、ほぼ同じ距離をロングドライブする機会に恵まれました。
RSは従来までのトヨタのハイブリッド車とは異なり、始動時からして「走りの良さ」を予感させるものがありました。それが静かながらも精密感のあるエンジン音です。
従来までのハイブリッド車が全体的に緩めの走行フィールだったのに対し、RSは踏む前から「瞬時に加速する準備OK」といった感覚、そして実際走り出すとその違いは同じクラウンとは思えないほど異なるものでした。
試乗コースに設定されていたワインディングでは、2.5Lハイブリッド車がアクセルを多めに開かないとイメージどおりに走れないのに対し、RSはアクセルを半分も開けば十分でした。余力を残しているので、さらに踏み込めば「未体験ゾーン」に突入、当然フィーリングも良くなります。
またトランスミッションは専用の6段ATを搭載していますが、これを手元のパドルシフトで操作することでエンジンの美味しい部分を使うことができます。積極的にシフトダウンした際に「シューン」という音が聞こえてくるのですが、これが冒頭に述べた「精密感のある」エンジン音、思わず「このクルマ良いよな~」って気分になれるのです。
ワインディングで感じる心地よさ
RSの走りの良さをサポートするのはエンジンだけではありません。同じ4WD車ですが、RSはリアモーター側の出力を高め、駆動力の分配制御も2.5Lハイブリッド車とは大きく異なります。
感覚的にはFFベースでありながらリア側からの駆動を感じることができます。ある意味、限りなくFR(後輪駆動)に近づけようとしている感覚です。
実際トヨタのデータでも「走行状態に合わせて前後輪トルク配分を100:0から20:80の間で緻密に制御する」と記載されており、前述したワインディングなど連続したコーナーでも大型のボディをヒラリ(軽々)と旋回させるフィーリングにはただただ驚くばかりです。
またこの感覚をサポートするのが全グレードに標準装備されるDRS(Dynamic Rear Steering)による部分も大きいと感じました。DRSは簡単に言えば「リアステア機構」のことで、昔かなり流行った「4WS(四輪操舵)」とほぼ考えが同じものです。
車速に準じてリア側の舵の利きを変化させるのですが、DRSがあることで、最小回転半径は5.4mに収まっています。ちなみにトヨタのエンジニアによると「これが無いと5.8mくらいになる」とのことなので当然小回りは利くわけです。ワインディングや高速道などのレーンチェンジをはじめ、どのシーンでも快適かつ気持ちの良い走りを味わえそうです。
一方で乗り心地に関しては21インチという大径サイズのタイヤを生かし切れているかというと、もう少し改善の余地があると感じました。微速域での振動はクラウンという高級車の立ち位置を考えるともう少しアップグレードに期待します。