「47万円の未納のために、なぜ2130万円を差し押さえられなければいけなかったのかわからない。手続きの時に理由を聞こうと思ったけど、悪いことをしてるのはこちらだし余計なことは聞かないほうがいいかと思い、聞けなかった」(小田原氏)
「納付督励」から始まる差し押さえの流れ
そもそも差し押さえとはどのような流れで行なわれるものなのか。“年金博士”として知られる社会保険労務士の北村庄吾氏が説明する。
「まず国民年金保険料の差し押さえは突然くるものではありません。直近の基準だと所得額300万円以上で7か月以上の未納者を対象に行ないます。まず『納付督励』という青色の封筒の手紙が届き、同時に電話や訪問によって納付を促されます。それでも未納のままだと最終催告を意味する『督促状』が黄色の封筒の手紙が届きます。これは納付書とともに送られ、指定期限までに納付しないと財産の差し押さえを行なう旨が書かれています。それでも払わず事務所への連絡も怠っていると、赤色の封筒で差し押さえ予告を伝える文書が届きます。それでも無視し続けると財産調査が入り、所得や不動産、預金口座や有価証券などの有無や身辺調査を含めた調査が入るようです。
小田原さんが2130万円を差し押さえられたのは、把握した口座にたまたま多額の現金があったということでしょう。もし小田原さんのメインの口座に入っていた金額が50万円だったら、その50万円が差し押さえになっていたということです」
なぜ小田原氏は20年近く滞納していたにもかかわらず、これまで差し押さえがなかったのか。
「まあ運が良かったというのか、たまたまでしょうね。ただ、富裕層ほど年金などあてにしていないという態度の人が多いため、支払わずに差し押さえられたというケースは多く聞く。2000万、3000万円ほどの差し押さえというのは過去にも例がありました」(北村氏)
最後に、小田原氏は反省の弁を述べた。
「口座引き落としの手続きをしたので、今後は払い漏れが起こる心配はありません。本当にご迷惑をおかけしたと思っていますが、年金は一定期間を支払わなければ老後に年金が戻ってくることはないと聞いています。僕は戻りもしない年金を払い続けるのかなって思うと、なんとなく気は重たい気はします」