姉は塾に行かずに東大に受かった
難関国立大学に通う20代男性・Cさんは、東大合格者ランキング上位に毎年ランクインする超進学高校に通っていた。塾に対する考え方も、これまでの2人とは少し異なるようだ。
「僕は、学校のなかでは落ちこぼれ組でした。そうしたなかで、超進学校の生徒ばかりが通う“東大受験生御用達”みたいな塾があって、僕もそこで勉強すれば秀才たちの仲間入りできるかもしれないと思って、入塾してみたんです。でも実際に通ってみると、みんな頭が良すぎて……数か月でやめました。授業が進む速度が尋常じゃなくて、黒板を写すのが精一杯でした。それをこなせる人にとっては自分の身になるんでしょうけど、僕は全然こなせなかった。
あらためて、勉強は自分の力を見極めるところから始めるべきだと痛感しました。英語は中学生の参考書を自分で買ってやりなおし、模試で実力を確認。塾は夏期講習だけ利用して、足りないところは自分で補う、というスタイルにしました」(Cさん)
結果、無事志望校に合格したCさん。学校にはない、塾のメリットについてはこう話す。
「学校だと、どうしても受験に使わない科目もやらなくてはいけない。塾は自分が志望する大学の受験科目や、伸ばしたい科目だけ講義が受けられるので、効率的ではありますよね。あと、講師が『この問題は○○大学で出やすいよ』といった経験に基づく情報を教えてくれるのはいいなとは思いました」(Cさん)
「ただし」、とCさんは続ける。
「僕の姉は塾に行かずに東大に受かっていました。東京にいると、どうしても『みんなが行ってるから』と、消極的な理由で塾に行く人が多いように思います。行っている人たちも、本当に勉強の必要に迫られているというよりは、『友達が行くから』『行かないと取り残される気がするから』という理由が多い気がします」(Cさん)
塾に通う目的は「勉強ができるようになりたい」「受験で合格したい」というところが第一義にあるが、東京の高校出身者たちの話を聞くと、意外と消極的な理由で通っている人たちも少なくないようだ。(了)