親が電子マネーのお年玉を拒否した理由
娘の話によると、マスミさんが渡していたお年玉は、自粛期間中のおうち時間を充実させるための費用に充てられていたことが判明。内訳としては、ゲームやお菓子などの食費とのことだった。
使い道は子供のためだったので理解はできるが、娘が子供たちに隠し事をしたことに不信感を持ってしまったマスミさん。孫たちに直接電子マネーを送金することを思いついたという。これなら娘に取り上げられる心配がないと思ったからだ。しかし、それはマスミさんの娘が許さなかった。
「『電子マネーだとお金をつかっている感じがしないじゃない。時代とは逆行しているかもしれないけど、お金の勉強は現金でするほうがいいんだから!』と怒られたんです。『お年玉は現金でね!』と口酸っぱく言われ、結局ポチ袋に現金1万円を入れることで話は終了しました」
紆余曲折があったものの、今年は無事にお年玉が手渡しできると安堵していたマスミさんだったが、更なる問題が発生する。
「『ここだけの話、私もコロナがきっかけでパート先のシフトを削られたりしてるのよ。だから、ちょっと援助してもらえないかしら』と相談されたんです。まさか40歳の娘からお年玉をねだられるとは思っていませんでした」
マスミさんには「あげたお年玉は子供のために使った」と話していたが、実際はほぼ全額生活費に充てていたそうだ。もちろんこの事実を孫たちは知らない。それを聞いて、マスミさんは「胸が苦しくなった」と話す。
「娘の家庭は決して裕福ではありませんが、平均的な生活を送っていると思っていました。ですが実際はかなり大変な状況にあるようです。まさか私から孫に送ったお年玉をアテにしていたとは思いませんでした……」
結局、孫2人に1万円ずつ、そして娘に3万円のお年玉を用意することにしたマスミさん。「その代わり、孫たちには必ずお年玉を渡してほしい」と伝えたという。
コロナの影響で働きたくても働けない状況があるなか、追い討ちをかけるような物価上昇と、ここ数年で私たちの生活は大きく変化した。今回のマスミさんの娘のようなケースは、もはや珍しい話ではないかもしれない。(了)