コロナ禍で迎える3度目のお正月が近づいている。行動制限のない今年は大勢で集まる計画を立てている人も多いようで、昨年までは「一人用おせち」が人気だったが、今年は2段重、3段重の売れ行きが好調だという。贅沢な食材が使われ、そもそも高価な「おせち」だが、昨今の円安・物価高の影響で価格はさらに高騰している。そうしたなか、繰り返し話題になるのが、おせちは「買う」ものか、「手作りする」ものか、の問いである。今年、初めてデパートの2段重を購入したという30代の兼業主婦に、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。
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年末が近づき、お正月の準備に追われている人も多いのではないだろうか。その中でも大変なのがおせち料理である。かつては料理を一品ずつ手作りしたり、または購入するなどして家庭で詰めることが主流だったが、最近はデパートやスーパーなどで豪華な「おせち重」を購入するケースも増えている。「おせち料理」に対する価値観にも変化が出てきているようだ。
ハースト婦人画報社が実施した「来年のお正月のおせちの意向」についてのアンケート調査(20〜69歳の女性1073名が対象)によると、46.6%がおせちを「購入する」と回答した。「自宅で作れないような品目が味わえる」が購入理由のトップを占めている。
夫と3歳の息子の3人で埼玉県に暮らすパート主婦・キミコさん(仮名、38歳)は、今回初めておせちを購入することにしたという。
「毎年おせちを作ってお重に詰めていましたが、正直、料理は得意じゃないし準備は大変だしで苦痛でした。主人は無理におせち料理を用意しなくてもいいとは言われているものの、無いと味気ないかなと思っちゃって……。そこで思いついたのがデパートのおせち料理でした」(キミコさん、以下同)
子供がまだ小さいため、夫婦で食べ切れる2人前のおせちを探すと、2万円前後で購入できることが分かった。決して安くないが、「食材購入や調理の手間を考えれば妥当」と判断したそうだ。夫婦でどれにするか話し合い、デパートの通販サイトでランキング上位の2段重のおせちをキミコさんは選んだ。
そのことを近所のママ友Aさんに話題の一つとして話したところ、意外なリアクションが返ってきて困惑したという。