新年の風物詩、初売り。それをより一層にぎやかなものにするのが、メーカーや小売店が工夫を凝らした「福袋」だろう。家計の節約アイテムとしても重宝される福袋だが、最近はそれを購入すること自体、金銭感覚の違いや経済状況を映し出す鏡になり得るようだ。いったいどういうことなのか。好きなファッションブランドの福袋購入がきっかけとなり、友人から思わぬ“口撃”を受け凹んだという20代女性に、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。
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2023年もファッションブランド、飲食店、デパートなどで様々な福袋が販売されている。福袋を買うために早朝から初売りに並ぶことは珍しくないが、最近ではオンラインサイトで予約販売するところも増えてきているようだ。運試しとしてすでに購入した人も多いのではないだろうか。
都内在住の会社員・スズカさん(仮名、24歳)。福袋の購入で浮き立った気持ちを、正月早々、友人たちの心無い言葉によって台無しにされたという。
「一人暮らしを始めてから、お金の大切さを実感するようになりました。当たり前の生活を送るのに、こんなにもお金がかかるとは思っていませんでした……。学生時代は実家住まいで生活費は親に出してもらい、バイト代は全て洋服や美容代に充てていましたが、今はそんな贅沢できません」(スズカさん、以下同)
スズカさんの仕事はIT関係。勤続年数3年目で、手取り月給は22万円だそうだ。マンションの家賃は7万円。さらに水道光熱費や食費を払い、一部を貯金に回すと自由に使えるお金はあまり残らないという。そのため、美容院代は割引クーポンを利用し、買い物では「ポイ活」をマメにするなど、普段から節約を意識した生活を送っているそうだ。
昨年末、スズカさんは1年頑張った自分へのご褒美として、大好きなファッションブランドの福袋を買うことを決意。いつもはネット通販で1着1000円台の洋服を買っていたので、久しぶりの贅沢にワクワクしたという。
「私が購入したのは、1万1000円の福袋でした。コート、トップス、スカート、小物が入っており、トータルコーディネートが楽しめるとあったのが購入の決め手です。そのファッションブランドはワンピースだけで2万円ほどするので、かなりお得だと感じました」