もっと節税効果が大きいのがiDeCo(個人型確定拠出年金)だ。投資信託など一定の金融商品の中から自分で選んで運用する“じぶん年金”で、掛け金は所得控除となり、運用益も非課税、期限が来て受け取る時も控除を受けられるという3重の節税メリットがある。
「iDeCoは長期間続けて非課税制度を使えば使うほど、節税分で自分の資産全体が雪だるま式に増えていく。しかも2022年に制度が拡充され、加入年齢の上限が60歳から65歳に引き上げられ、企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入していたサラリーマンも加入できるようになった。毎月少額でも利用しない手はありません」(同前)
毎月1万円を30年貯金しても金利がほとんどつかないから360万円程度にしかならない。しかし、柘植氏の試算によると、年収400万円の人が毎月1万円をiDeCoで積み立てた場合、1年間の所得税・住民税だけで1万8000円の節税になり、30年間運用(年利5%)して受け取るケースでは3重の節税額の合計は148万円。実質の受け取り総額は貯金のざっと3倍に迫る900万円近くになる。
もちろん運用の部分にはリスクもあるが、節税のほうは確実に「得」になるのである。
※週刊ポスト2023年1月13・20日号