投資をしない人はどう考えるべきか
いくら話題になっているとはいえ、前述のNISAの解説通り、投資に限られたお得な制度ですから、投資をしない人には一切関係がないということになります。
しかし、そこで考えるのをやめてほしくはありません。投資に目を背けていた方や無関係だと言っていた方に限って、“知り合いの知り合い”から勧められた「儲け話」で大きな損を出してしまったり、退職金や遺産などまとまったお金が入った時に生まれて初めての投資をして全てを失ったり、莫大な手数料を払うことがあってもそのことに気付かない……、などという恐ろしい話も見聞きしてきました。社会人として暮らすうえで、死ぬまでの間に投資の話を完全に避けて通るのはもはや難しくなっています。
そして、給料が上がらない、ボーナスが少ない、退職金や年金への期待感も薄い、という声があちこちから聞こえてきますが、まずは自分でできることから行動しなくてはなりません。もちろん「貯める」ことは基本ですが、そこに「増やす」という行動を織り交ぜることで、長い目で見るとかなりの効果を期待できるのです。投資は、上がったり下がったりと波があるのは当たり前ですが、何十年も長く続けていれば、「いい波」は必ず訪れます。
「増やす」を取り入れるなら、まずはお得なNISA制度を活用するのが得策でしょう。100円から積み立て投資ができる金融機関も多々あるので、多くの方が挑戦できると思います。
2023年から始めるとよい理由
改正後の新しいNISAは2024年1月から始まります。お得なものには制限があるのは世の常で、新しいNISAには「生涯の投資枠が1800万円まで」というルールがあります。投資可能な資金がそれなりにある方や、若くて長い期間投資ができる方は、使い切ってしまうでしょう。
また、改正前年に当たる2023年には、現行のNISAが今までどおり存在します。2024年からの新しいNISAの生涯の投資上限額である1800万円とは別枠で、今年中に使うことができる枠があるわけですから、使わないのはもったいないと感じます。「目の前にぶら下がっているお得な枠を活用しませんか?」ということです。そして、ここで始めておくと、2024年改正以降の手続きもスムーズになるようです。
とはいえ、これから投資を始める上で、相場の状況を気にされる人もいるようです。「ロシア情勢は?」「アメリカの景気後退は?」「中国は?」「為替は?」など市場の懸念材料を並べて「様子見」したいという思いもあるかもしれませんが、積み立て投資に関しては不要と考えます。最終的に解約したり、売ったりするタイミングに暴落が来てしまうと残念な結果になるかもしれませんが、積み立てる、買う時には、むしろ外したくないタイミングです。