仲介業者への頼み方
「まず不動産仲介業者に査定を依頼することになりますが、基本は複数の業者に依頼して相見積もりを取り、相場観を掴むことです。そこで、極端に査定価格が高い業者は省く。なぜなら、不動産市場には相場があり、それより飛び抜けて高い価格で売れることは基本的にないからです」(長嶋氏)
その上で「査定の根拠が示されているか」「ターゲットや販売戦略が示されているか」などを基準に依頼先を決定することが望ましいという。
契約に際しては、1社に任せる「専任媒介」と、複数社に依頼する「一般媒介」のどちらにするかも慎重に考えたい。
「原則としては専任媒介がよいでしょう。事実上、売主から仲介手数料を約束してもらえるので、仲介業者としても積極的に動きやすくなります。一方、『駅近』や『建物が新しい』などの好条件があれば、あえて一般媒介とすることで、業者間の健全な競争を促す手もあります」(同前)
売却のほか、空き家をリフォームして「貸す」ことも選択肢となる。
「駅近の一戸建てなど需給が逼迫しているエリアに限定されますが、リフォーム費と家賃収入を計算し、賃貸に回す手もあります。ざっくりですが、200万円のリフォーム費用をかけて月額8万円で貸すことができれば、年間の家賃収入は96万円。コストは2年強で回収できる計算になる。その他諸経費も考え、プラスが生じると判断できれば、有効な選択肢のひとつになるのでは」(同前)
売却するにしろ、賃貸物件とするにしろ、大事なのは「早めの決断」と長嶋氏は強調する。
「時間が経過するほど、周囲にライバルとなる空き家は増える一方です。『なんとなく意思決定を先延ばしにしたまま放置する』ことは避けたい」