日本の伝統的な食材のひとつである「梅干し」が、窮地に立たされている。総務省の家計調査によると、一世帯当たり(2人以上)の梅干しの年間購入数量は、2002年には1053グラムだったが、2021年には658グラムまで減少しており、約20年でおよそ4割減っている計算だ。先日、梅干し製造問屋が業界の窮状をTwitterで訴えたことも大きな話題になった。なぜ梅干しを食べなくなってしまったのか。“梅干し離れ”した人たちに、その理由を聞いた。
そもそも白米をあまり食べなくなった
IT企業に勤務する20代男性・Aさんは、梅干しが嫌いというわけではなかったが、「食べる機会は減っている」と、その実感を話す。
「実家にいた時は、梅干しはご飯のお供として、常に冷蔵庫にありました。高校時代に持参していたお弁当にも、いつも梅干しが入っていました。でも、一人暮らしを始めてからは、ほとんど食べませんね。あってもいいけどなくてもいい、みたいな感じになっているので、わざわざ買うこともないというか」(Aさん)
そんなAさんでも、飲食店に行けば焼酎のお湯割りや梅酒といったアルコールや、つまみを通して梅干しに触れることはあった。ただ、コロナ禍以降はその機会もほとんどなくなってしまった。
「梅そのものは嫌いではないので、居酒屋で焼酎の梅干し割、梅きゅうり、梅水晶といったメニューを頼むことはありました。ただ、梅よりレモンのほうがいろんな食事に合うと思うようになったので、レモン割を頼むことが多くなったかな。最近は居酒屋には行かなくなり、家飲みばかりになりましたが、チューハイでもレモン味を選びがちです」(Aさん)