年明け早々、世界の「ソニー」「ホンダ」が手を携え開発した新型EV「アフィーラ」が米国でお披露目された。自動運転レベル3の搭載を目指し、ソフトウェアは高速通信の「5G」で随時アップデートされるという。まずは北米で2025年に受注が開始される予定だ。
昨年3月、世界を驚かせた「世紀の提携」発表だが、2021年夏頃からの若手技術者間の交流に始まり、それから1年足らずの間にトップ同士の合意まで至ったという。
創業者が掲げた「独創性」を看板に他社と組むことなく事業を続けてきた両社だが、世界的潮流であるEV社会の実現に向け各社が鎬を削る今、これまでと同じやり方では戦えない。そこで互いの強みを活かすべく、提携が実現したのだ。
経済ジャーナリストの福田俊之氏はこう言う。
「自動運転技術の安全確保という重い課題があるなか、従来の単なる移動手段からエンタメ空間へと、クルマの概念自体を変える製品の実用化に向けた勇気ある決断を評価したい。こうした大企業同士の協業が他にも生まれれば、日本は再び“ジャパン・アズ・ナンバーワン”になり得ます」
では、どんな「夢の提携」が考えられるか。識者の知見を元に導き出された“最強タッグ”を紹介していく。
不動産高騰の問題を解消
■トヨタ自動車×日立製作所「水素発電でエネルギー革命を起こす」
福田氏が推すのはトヨタ自動車と日立製作所による水素発電所の開発だ。温暖化対策としてカーボンニュートラルが求められるなか、CO2が発生しない水素発電所が実現すれば「日本の未来が開ける」と福田氏は言う。
「国内外で発電所建設を手がける日立と、世界で初めて水素で走る燃料電池を商品化したトヨタが組めば、水素発電所の実現が近づく可能性があります。
多様なエネルギー源からの製造・貯蔵・運搬が可能な水素による発電は、化石燃料に依存する日本のエネルギー調達・供給リスクを減らせるうえ、輸出産業とすることもできる。課題は安全対策と高価格な点ですが、トヨタはその点に強みがありそう」
■NTT×三井不動産「リモートワークタウン開発で億ションいらず」
経済アナリストの森永卓郎氏はコロナ禍の新たな働き方に着目する。
「今でも3割くらいがリモートワークとされます。そこで、億単位のカネをかけて都心の家を買うのではなく、地方にリモートワークタウンを作ることを提案したい。広い敷地に家を建て、都心に住むのと変わらない最先端の情報通信環境を備える。電気を自給するゼロエネルギー住宅を建てるとしても、地価が安いので2000万円を切れます」
その担い手として、テレワークを積極導入するNTTと街づくりに取り組む三井不動産に期待する。
「今まで需要がなかった通勤2時間圏くらいの田舎を大規模開発し、都市住民が快適に暮らせる街を作る。三井なら『ららぽーと』などの商業施設も作れる。そこにNTTによる最先端の情報通信環境があれば、必要な都市機能はすべて揃えられるはず。リモートワークタウンのノウハウは、都市の物件価格が高騰しているアメリカなど海外でも売れるかもしれません」