固定資産税や維持費など、余計なお金がかかる「空き家」。実家が空き家になってから処分しようと思っても、なかなか一筋縄にはいかない。そのため、親が存命であれば今のうちに「実家の処分」についてやっておくべきことは多い。まず必要なのは、将来設計を踏まえた話し合いだ。オラガ総研代表の牧野知弘氏が語る。
「現在は会社勤めの方で定年後に故郷に住むつもりなら実家を有効活用できますし、逆に誰も故郷に戻らないなら実家を残しても負担になるだけです。そうした将来設計を踏まえて親子で家族会議を開いて、実家をどうしていきたいかを話し合うことが重要です」
こうした「実家の処分」に関連して、生前の対策が欠かせないものは家屋以外にも多々ある。
近年、相談事例が増えているのが「ペット」だという。終活アドバイザーとして多くの相談を受けている山田静江氏が語る。
「親の死後はもちろん、最近は生前でも、施設に移り住むのをきっかけに『引き取ってほしい』と親から相談されて困っているといったケースを聞きます。ペットの引き取り手がいなければ最悪の場合は殺処分です。『ペットのために早めに手放して』と親に伝えて、早い段階で引き取り手を探しておくべきです。ペットの里親ボランティアが引き取ってくれるケースもあります」
もし親がこれからペットを飼うことを検討しているなら、最後まで面倒を見切れるか問いかけることも必要だ。
「墓じまい」をする場合はトラブルに要注意
実家を処分する際に、一緒に考えなければいけないのが「墓」だ。親が生きているうちに実家を処分して移住することになれば「墓じまい」をする選択肢も出てくる。しかし、最近はトラブルも増えているという。
「菩提寺との話し合いで100万円の離檀料を要求されたケースもあると聞きます。さらにお墓からお骨を取り出す時には閉眼供養として数万円のお布施、新たなお墓や納骨堂を準備するには数万~数百万円の費用が必要です。墓じまいはコストがかかることを知っておくべきです」(大和氏)
また墓じまいの連絡が田舎の親戚に行き渡らず、後に「本家の墓を勝手に移すな」とクレームが来て揉めることもある。
「そもそもお墓を誰が管理しているか子供が知らないケースも多い。墓じまいを考えるなら親の生前に管理状況を確認し、親戚を含めて話し合いをしておくとスムーズに進められます」(同前)