強制的に天引きされている会社員との不公平感
ベテラン社労士は次のように解説する。
「自営業者らが加入する国民年金の保険料は月額約1万6000円で、年間20万円弱の負担になります。口座振替や金融機関を通じた振込などで支払うかたちになりますが、“自ら手続きをして払う”という仕組みになっているため、“俺は年金なんていらない”“どうせ年金制度なんて将来、どうなっているかわからない”などという考えで保険料を払わない人たちがいるのは事実です。
もちろん義務を果たさないのは許されないことですが、国の年金制度への信頼が低いことによってそうした事態を招いている面もある。国会議員は本来、国の年金制度の信頼を取り戻すために努力する立場にあるので、未納疑惑には正面から向き合う必要があるでしょう。
このままの状態では不公平感を募らせることになるのは、厚生年金に加入している会社員でしょう。厚生年金は1階部分と呼ばれる基礎年金(国民年金)と、2階部分と呼ばれる報酬比例部分に分かれますが、現役世代が支払う保険料の額は会社から受け取る報酬に応じて決まり、毎月の給料から強制的に9.15%が天引きされます。
若い世代の会社員には、将来の年金制度がどうなっているのか不安で、毎月保険料を天引きされるくらいならそれを原資に自分で運用したいと思っている人も大勢いる。でも、天引きだからそれは許されない。“年金はいらないから保険料は払わない”という国会議員に対しては怒りの感情しかないでしょう」
中条氏が今後、どう対応していくか、注目が集まる。(了)