日本の市販薬は中国人観光客に大人気(ウェイボーより)
上海市在住の中国人男性も苦境を打ち明ける。
「昨年12月上旬頃、コロナ自宅療養者向けの薬の参考リストを政府が発表すると、リストにある薬があっという間に売れて品切れになった。
ネットでは薬が高騰し、コロナの特効薬とされた免疫グロブリン製剤はもともと300元(約6000円)だったのが2200元(約4万4000円)に。薬が手に入らず、友人の多くは自宅に残っていた期限切れの薬を飲みました。うちにも1年以上前に期限の切れた薬がありますが、いざという時のために保管してあります」
そして今、懸念されるのが春節休暇(1月21~29日)の大量来日によるさらなる爆買いである。
自国の医薬品への不信感
北京大学国家発展研究院の調査チームは1月11日までに全人口(約14億人)の64%にあたる9億人が感染したとの推計を発表し、衛生当局は2022年12月8日から2023年1月12日までの死者数が約6万人だったことを公表した。
「中国の民間病院は医療レベルが低く、地方は病院そのものが少ない。きちんとした医療を受けるには都市部の総合病院を受診する必要がありますが、そのためには都市部に出てきて病院診察券を入手する必要がある。薬価も高く、庶民には治療を受けること自体ハードルが高い」(長澤氏)
脆弱な医療システムに市井の人たちが苦しむなか、垂涎の的となるのが日本の市販薬だ。
「中国は製薬メーカーが1万5000社あると言われており、各社が勝手に医薬品を作るから成分がまちまちで質が悪い。多くの中国人は自国の医薬品を信頼せず、品質が良く価格が安い日本の市販薬を“お宝”のようにあがめています」(同前)