物価高に為替の激しい変動と、日本経済は激動のさなかにある。“経済予測の達人”と呼ばれるニトリホールディングス(HD)代表取締役会長の似鳥昭雄氏(78)は、日本経済の今後をどう見るか。自社の成長への道筋を含め、大いに語った。【全4回の第3回。第1回から読む】
「特徴ある店」が生き残る
貧富の差やコロナによるライフスタイルの変化が広がるなか、ビジネスはどこに勝機を見出せばいいのか。
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以前、日本は中間層が厚いと言われていました。今は二極化が進んでいるように思います。例えば、正社員と非正規社員は給料に差があります。すぐにアメリカほどの格差社会にはならないにせよ、貧富の差は大きくなっていくのではないでしょうか。
ニトリの商品においても、売れ筋の二極化が進んでいます。実際、20万円台のソファやベッド、ダイニングセットが店舗で売れるようになった。「プライスポイント」という、最も購入するお客様が多い価格帯も、ひと昔前に比べ、高額になってきています。
一方、ネットではソファ・ベッド・ダイニングセットなどで、1万~2万円台という低価格帯の商品がよく売れます。「商品を見ずに価格重視で買う層」が近年はものすごく増えていると思います。現在はニトリの売り上げも約11%がネット経由です。
特にコロナ禍以降はネットの利用客が増え、競争が激化しました。もっとも店舗に来て商品を触ってから買う方々もまだ多く、ネットとリアルの店舗を両方持つことが強みになっています。
コロナ禍で人々のライフスタイルがガラリと変わりました。ニトリグループでは、ワンコインで食事を楽しめる「みんなのグリル」というダイニングを展開していますが、コロナ禍が進むにつれ、昼間は並んでいても夜は空いている状態です。以前はディナーのお客様が6割でしたが、今は2割程度しかいません。テイクアウトされるお客様も約15%となっています。
この傾向は新型コロナウイルス感染症が収束しても続くんじゃないかな。人々の生活スタイルががらりと変わってしまいましたから。