物価高に為替の激しい変動と、日本経済は激動のさなかにある。“経済予測の達人”と呼ばれるニトリホールディングス(HD)代表取締役会長の似鳥昭雄氏(78)は、日本経済の今後をどう見るか。自社の成長への道筋を含め、大いに語った。【全4回の第1回】
四重苦の逆境のなか
「36期連続の増収増益に、ついに黄信号か」。他に類を見ない長期にわたり成長・拡大を続けてきたニトリHDの2022年3~11月期の連結決算は増収ながらも減益。カリスマ創業者の似鳥昭雄会長はこの状況についてこう振り返った。
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現時点の減益は、為替市場の急変動、円安が大きく影響したものです。ニトリの商品は、約9割が海外で生産され、輸入しているものです。ドルで決済しているため、何も対策をしない場合、対ドルで1円の円安が約20億円の減益要因になります。
円安に加えて、海外からの輸送費の主要部分である海運コンテナ料金、更には原材料費も高騰しました。コロナ禍による混乱を加えれば、四重苦という、今までに経験したことのない逆境です。
それでもあらゆるコスト、社内の経費削減を徹底し、一部商品を値上げさせてもらうことで、第3四半期の経常利益は前年比12%減の975億円までもってくることができました。これは大健闘だと思います。
日々頑張ってくれている全社員をほめたいですね。当社の人事制度では、減益ではボーナスの額が何段階か下がる仕組みですが、今回は皆が頑張ってくれたので、目標達成時と同じ水準の賞与を支給しました。