金利が上昇すれば、お金が借りにくくなるので、投資や消費が鈍化します。企業の業績も落ち込むので、株式にとってはネガティブです。世界一の経済大国であるアメリカの経済がよろめくと、当然、世界中がよろめきます。そんなこともあって、毎月のアメリカのCPI発表時には、世界中の金融関係者が固唾を呑んで見守っているのです。
実際、株式市場は、CPIの発表に非常にセンシティブで、昨年5月のCPIでは市場予想が前年比8.2%だったのに対して結果が8.6%と大きく上回ったため、その日の米国株は大幅下落。とくにハイテク株で構成されるNASDAQ指数は、3.5%も下落しました。“CPIショック”という言葉も耳にしたことがあるかもしれません。
ただし、去年の6月の前年比9.1%をピークに徐々にCPIは低下しており、12月は6.5%まで下落しました。それでも、前年比で物価が6.5%上昇している状態は、普通ではありません。FRBは、金利の引き上げスピードを緩めたものの、引き上げそのものはストップしていないので、今後も注意が必要です。
日本のCPIはどうなっている?
肌感覚として、わたしたち日本人も物価上昇は今まで感じたことないレベルで察知しているのではないでしょうか? 実際、CPIは2021年4月からじわりじわりと上昇しており、直近発表された12月のCPIは前年比4%と、日銀が目標としているインフレ率2%をゆうに超えています。
ただし、日本のCPIが上昇しているいちばんの原因は、エネルギー価格の上昇と昨年急激に進行した円安の影響が大きいため、一時的なものと考えられています。そのため日銀は、政策金利の引き上げは行っておらず、いまだ日本はマイナス金利となっています。
今後、物価の上昇が思ったようにおさまらなければ、いよいよ日本でも金利の引き上げが行われるかもしれません。
じつはちょっとちがう日米のCPI
CPIには、全対象品目の物価を反映した「総合CPI」のほかに、「コアCPI」と呼ばれるものがあります。アメリカでは、天候や特殊な需給によって変動が激しい生鮮食品とエネルギーを除いたものをコアCPIと呼びます。一方、日本では、生鮮食品を除いたものをコアCPI、生鮮食品とエネルギーを除いたものをコアコアCPIと呼びます。より正確な物価変動を見るには、コアCPI(日本ではコアコアCPI)も併せてチェックする必要があります。
*アメリカのCPI指標
https://www.bls.gov/news.release/cpi.nr0.htm
*日本のCPI指標
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf