子供の頃からの「体験格差」を埋める
いま、18才までの子供たちは、どうすればこの格差を乗り越えられるだろうか。早稲田大学人間科学学術院教授で『新・日本の階級社会』著者の橋本健二さんが言う。
「受験のための塾や予備校の月謝などが『経済的資産』なら、家に勉強できる環境が整っているか、親が勉強を教えられるか、幼い頃から勉強の習慣を身につけさせられるか、そしてそもそも、親が勉強の大切さを理解しているか。こうした『非経済的資産』、すなわち『文化資本』があるかどうかが、本当の意味の親ガチャだと言えます。成績が悪い生徒の多くは、親の非経済的資産がない場合が多い。
親の経済力はもちろん、非経済力も、子供自身が持って生まれた知能とは関係ありません。いまの日本で個人でできることは多くはありませんが、たとえ親ガチャで当たりを引けなかったとしても、ある程度挽回することは可能。望みがあるとすれば、幼い頃から読書の習慣をつけることです」
そのためにはまず、親が読書習慣という「文化資本」を持っていることが望ましい。『進路格差』(朝日新書)の著者で教育ジャーナリストの朝比奈なをさんは、子供の頃からの「体験格差」を埋めることをすすめる。
「習い事をさせる必要はありません。公園や図書館に行ったり、地域のNPO団体が行う無料のイベントなどに参加したり、お金をかけずにできることでいい。自己肯定感や知的好奇心が高まり、いずれ子供自身がやりたいことや進みたい道を見つけることにつながるはずです。もちろん、学力向上に役立つことも大いにあります。
いまの日本で人生が左右されるポイントがあるとしたら『高校受験』のときです。そこで、偏差値の数字だけにとらわれず、本当にその子にふさわしい高校への進学をサポートしてください」
大卒か、非大卒か。この二択で評価される時代は、少しずつ終わりに向かっている。だからこそ、いまの子供たちには、古い価値観に惑わされず「自分」を磨いてほしい。
※女性セブン2023年2月9日号