長引く不景気、円安、物価高と、気が滅入るようなニュースが毎日のように耳に入るなか、切実なのが電気料金の高騰だ。特に冬は他の季節以上に電気代がかさむため、「エアコンをあまり使わず、少しでも暖房代を節約しよう」と考える人もいるかもしれない。だが、そこにはやはり我慢の限界がある。「暖房代をケチってひどい目に遭った」という人たちに、それぞれの事情を聞いてみた。
兵庫県に住む介護職員のTさん(40代/女性)は、暖房を使いたいと思っていても義母が“門番”になっていてなかなか思うように使えなかったのだが、娘の事件が突破口になった。
「うちは私たち夫婦と2人の子供、義母の5人家族ですが、義母がとにかく暖房を使いたがらない人。主人の銀行口座から引き落とされる電気代にはまるで無頓着ですが、灯油は現金払いなので、灯油代が気になって仕方ないようで、なかなかストーブをつけさせてくれません。その代わり防寒用品には金を惜しまず、孫が寒いと言えば、厚手の毛布や布団を買い与え、毎冬のように電気毛布、湯たんぽ、あんか、どてらなどを購入。通販の防寒グッズも大好きです。
しかしある時、義母に渡された極厚の靴下を履いた娘が廊下でツルッと転んで腕を骨折してしまい、『家の中で厚着する生活なんてイヤだ!』と、私の怒りが爆発。防寒グッズにお金を掛けるぐらいなら、ガンガン暖房を使ったほうがよほど快適だということに気付き、それ以来、部屋の中は南国のように暖かくしています」(Tさん)