帰る私に、「ヒロコちゃん、また来るでしょ、また来てくれるでしょ」と追いすがるように道路まで出てきて見送る叔母を見たら、かわいそうになってきた。「うん、近いうちにまた来るよ」と言いながら、前かがみになって靴ひもを直したとたんよ。出たっ!
「ヒロコ、また太ったね。お尻、こんなに大きくなっちゃって。あんた、体を動かさないんでしょ。だからいくらでも太るのよ」
こんなこと、詐欺被害を速攻で防いだ姪に言うかね? 腹が立つ。でも、こうしている間にも悪党たちは寂しい年寄りにワナを仕掛けているんだよね。そうわかっちゃいるけど、叔母の寂しさを埋めるためにサンドバッグになるのは金輪際イヤなんだよね。「いつか行く道」とわかっちゃいるんだけどねぇ……。
【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。
※女性セブン2023年2月16日号