SNSでの拡散が炎上を招き、騒動を大きくした面は否めない。
「拡散する人は“こんなにひどいことをやっている人がいます” と注意喚起をしようとしていると考えられます。その場合には、『業務妨害罪』の意図を実行犯や撮影者と共にしていないとされ、罪に問われることは考えにくい」(田村氏)
民事での損害賠償額は、どのくらいの規模が考えられるのか。
「しょうゆボトルや湯飲みといった備品の交換・消毒費用、監視カメラの設置、風評被害やブランドの毀損による売上減少の逸失利益、株主やメディア対応の人件費等、実際にかかった金額から賠償額を算出します。今回のケースでは、数百万円から高くて1000万円程度でしょうか。ただ、同様の迷惑行為が今後起きないよう、社会的な抑止力のために、もっと高額の請求をする可能性も考えられます」(田村氏)
2007年、都内のそば店で、アルバイト従業員が大型の食器洗浄機に体を入れている写真をSNSに投稿。この“バイトテロ”で、その後閉店を余儀なくされる騒動があった。
「店側は1385万円の損害賠償を求め、最終的には200万円を支払うことで和解が成立しました。このケースがひとつの“基準”になるかもしれません」(全国紙社会部記者)
責任能力はあるが、賠償能力はない
一方で、損害賠償の支払いにおいて考慮しなければならないのは、迷惑行為をしたのが少年だったことだ。
「今回のケースでは、『責任能力』と『賠償能力』を分けて考えなければなりません。行為者は高校生ですから、善悪の判断が充分つく年齢であり、責任能力が認められます。一方、当然ながら多額の賠償金を支払う賠償能力はありません。本人に責任能力が認められる場合、法律上はその親に賠償請求はできません。
ただ、これでは被害者救済が成り立ちませんから、こういったケースでは、少年の行為が、親の育て方や普段の家庭環境の延長線上で行われた行為であること、つまり親の監護に過失があったと認められる場合には、親に賠償請求できます。親の監護の過失は比較的容易に認められます」(田村氏)
「警察とスシロー側の判断にゆだねます」
少年と両親は、スシローへの謝罪の折、そう明かしたという。“判断”の行く末が注目される。
※女性セブン2023年2月23日号