前出・関氏もこう言う。
「平井社長時代に経営危機を乗り越えた際は何が本業かがよく見えなくなりましたが、社長となった吉田氏は、『エレクトロニクスとエンタメにまたがる世界唯一の企業』というソニーの存在意義を確立した。そんな吉田氏にとって、ソネット時代からの相棒である十時氏は、一番安心して後を託せる人だったはず」
ただ、新社長の十時氏にも大きな課題が待ち受けている。
十時氏は会見で「急速なテクノロジーの進化を事業の成長につなげられるか否かは紙一重」と発言。大西氏も、「ソニーはホンダとEVの共同開発を進めていますが、そのEV事業を前述の6つに加えて第7の柱にできるかが課題」と指摘する。さらに関氏はこう言う。
「懸念材料は、吉田氏との距離の近さです。長年、チームで仕事をしてきたことから考え方が似通ってしまい、変化の激しい時代に武器となる異質性が発揮できるかどうか。十時体制の経営チームに、多様性を取り込めるかが課題になるでしょう」
※週刊ポスト2023年2月24日号