遺伝子組み換えとは違い、ゲノム編集は狙った部分の遺伝子をひとつ変えるだけであるため、「自然界でも起こり得る変化だから安全」というのが推進派の主張だ。米ボストン在住の内科医・大西睦子さんはこう話す。
「しかし、切断する酵素の設計にミスがあれば、狙っていた標的とはまったく別の遺伝子に異変が起きてしまう。『オフターゲット』と呼ばれる現象です」
実際に海外では、ゲノム編集によって誕生した雄の子牛の染色体に異常が起き、調べてみるとDNA配列がめちゃくちゃだったというケースもある。中国が開発中の「収穫量の多いゲノム編集イネ」でもDNAに想定外の変化が起こり、収穫量はむしろ減少してしまったという。舌の肥大したウサギ、脊椎が多い豚、早期に死亡する牛など、「万全」とは言い難いのが現状なのだという。
「オフターゲットによってアレルギーを引き起こす物質になると食の安全性にかかわる問題になります」(大西さん)
「未来の食品」として急速に広がろうとしているゲノム編集食品。その安全性については、今後しっかりと検証していく必要がありそうだ。
※女性セブン2023年2月23日号