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おひとりさまの相続問題 「控除」は激減、子供が「減税特例」使えないリスクも

ひとり暮らしの65歳以上は急増中

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 妻が亡くなって法定相続人のメンバーが変わるなどしたにもかかわらず遺言書の内容を見直さないと、「不備のある遺言を残している状態になり、書き残した人が亡くなった時に一部しか機能しなくなる」(山本氏)のだ。夫が亡くなって妻が財産を継承した場合も、妻の保有する財産の内容が変わるので、もともと妻が遺言書を書いていたとしても有効ではなくなる。

 そうしたなかで何もしないと、子供に大きな税負担が発生するリスクがある。山本氏が続ける。

「たとえば、夫婦が長男家族と同居していて、夫が“自分が死んだ後は妻に自宅を残したい”と考えて遺言書を用意していたケースで、妻に先立たれたのに遺言書を書き直さなかったらどうなるか。

 その後に夫が亡くなった際、本来であれば同居している長男は宅地部分の相続税評価額が8割減になる『小規模宅地等の特例』を使って相続税を節税しながら自宅を受け継げるのに、遺言書が(すでに亡くなった妻に相続させるという)機能しない内容になっていると、長男以外の兄弟姉妹と遺産分割協議が必要になってしまいます。長男以外が相続することになったら、特例が使えずに税負担が増えてしまう可能性があるのです」

二次相続で負担が激増

 他にも注意すべき点は多い。妻や夫に先立たれると、相続に際して使える「控除」が大きく減るというポイントも重要だ。

 相続税には「3000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除があり、妻と子供2人がいる場合、夫が亡くなった際に4800万円までの遺産は相続税がかからない。それが妻に先立たれると基礎控除は4200万円まで減ってしまう。

「さらに配偶者には、法定相続分(子供がいる場合は遺産の2分の1)ないし1億6000万円までは無税で相続できる『配偶者税額軽減』があります。それゆえ、夫ないし妻が先に亡くなった『一次相続』での相続税の負担がそれほどでなくても、残されたほうが亡くなって子供が財産を受け継ぐ『二次相続』で相続税が跳ね上がるケースがある。

 本来、一次相続の時から二次相続まで見据えた遺産配分にすべきですが、税理士のアドバイスを受けてもそこまで考えられていないケースが少なくない」(山本氏)

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