本当の理由を言ったところで…
広告代理店に勤務する30代男性・Bさんは、新卒で入社した会社を2年で辞めた。Aさん同様、「辞める理由を言っても得がない」と言う。
「最初入社した会社は、業界ではそれなりに有名な会社でした。ただ、すぐにつぶれる心配はないにしても、斜陽産業なので在籍し続けるイメージがわかないどころか、未来がないなと。じゃあそもそも、なぜそんなところに就職したかといえば、ぶっちゃけ他に内定が決まらなかったから。リーマン・ショックの余波で不況が続いていたなか、ここだけが拾ってくれたというわけです」(Bさん)
正式に転職先が決まったBさんが上司に退職届を出したところ、呼び出しを受けた。
「上司から、『なんで辞めるんだ? 1社に3年いられないようなら、次もまたすぐに辞めることになるぞ』と言われ、さらには3時間くらい説教されました。でも、本当の理由である『将来性を感じない』『給与も期待できない』などと言ったところで、『文句の多い新人が辞めていった』という彼らの印象は変わらないですよね。そもそも、聞いてどうするんですかね? 他の若手社員も辞めるんじゃないかと思って、その傾向が知りたいんでしょうか」(Bさん)
「結婚」「介護」ならそれ以上何も言われない
現在は医療機関に勤務する20代女性・Cさんは、本当は転職だったのに、「結婚するから」という嘘をついて会社を辞めたことがあると明かす。
「前職は契約社員の事務職で、すごく楽だったんです。それなりの仕事量で給料も悪くない、簡単にいえば“ぬるい”職場でした。同僚も割り切っていて、職場で結婚相手を探すか、結婚するまでのつなぎとして在籍するみたいな雰囲気でした。
そんな職場で、いちばん納得してもらえる理由が“結婚”でした。うっかりキャリアアップしたいからとか言ったら、『何するの?』とか聞かれたり、『あなたには無理だ』とか言われそうだったので……。どのみち関係なくなる人たちに、自分をさらけ出す必要もないですから」(Cさん)