中国メディアは先週から、「ChatGPT」に関する情報を大量に流し始めた。Chat GPT(Generative Pretrained Transformer)とは、イーロン・マスク氏などの企業家、投資家などが出資し設立した非営利団体(OpenAI社)が作り出したAIで、ソースコードが無償で公開されている。これを使えば、人間が作り出したテキスト(質問など)を深層学習させ、それに基づいて新しいテキスト(答えなど)を作り出すことができる。自由に改良することで、思い思いのAIを作成できる。
マイクロソフトは1月、オープンAIに対して数十億ドル規模の投資を行うと発表、2月7日にはChatGPTに基づいて開発されたAIを新たなBing、Edgeに搭載すると発表した。
中国ではバイドゥが2月7日、ChatGPTに類似したAI“文心一言”を3月中には内部の実用テストを終わらせ、公開すると発表、アリババグループの科学研究機関であるアリババ達摩院は2月8日、ChatGPTに類似したAIを搭載した対話型ロボットを開発、既に社内テストを開始していると発表した。京東、テンセント、三六零、科大諮飛などでも同様のAI開発が進められている。
金融業界でもChatGPTの話題は豊富だ。中国本土マスコミ報道(証券日報、2月8日)によれば、証券会社・鵬華基金がChatGPTを使って固定利回り型商品に関する投資家教育に関する文章、いわゆる営業用、宣伝用資料を書き出したということで、業界内で大きな話題となっている
資料作成者は、“固定利回り型ファンドの管理におけるリスクコントロール作用をいかに考えるか”や、“公募ファンドにおける固定利回り型商品の発展趨勢についていかに考えるか”など、商品の説明に欠かせないコアとなる部分について、ChatGPTに質問し、返ってきた答えをまとめるだけで資料が出来てしまったという話だ。
招商基金もChatGPTを使って同様の投資家教育・宣伝用の文章を発表しており、富国基金では年金に関する詩のようなものを作り出し、年金に関する投資理念を積極的にアピールしようとしている。
財通証券研究所では2月5日、ChatGPTを使って作成した医療美容に関する研究レポートを公表した。6000字を超えるレポートだが、レポート形式の設定や、文章作成、英語から中国語への翻訳などに約1時間、アナリストが出来上がった文章を校正するのに2時間かけて完成したそうだ。