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スシローペロペロ騒動で考える、昭和の女性社員が「上司の湯飲みを雑巾で…」 今ならネットで袋叩きか

 とか言いながら、実は私、この少年の表情に見覚えがあるんだよね。弱い人間が全力をあげて悪ふざけをするときのあの顔……。目の前の人間が怒れば怒るほど目はランランと輝いて、破滅するまで止まらない。

 5年前に59才で胃がんで亡くなった宮大工の弟は、もの心ついたときからこのクセがあったの。お酒が入ると特にそうで、ちょっと足を蹴飛ばして逃げる。相手にしないでいると今度は放っておけないくらいの強さに蹴り上げる。たまらず立ち上がって反撃に出ると、ものすごくうれしそうな顔で逃げるんだわ。

 意味のない悪ふざけの相手になる虚しさといったらなくてね。あるときから私は弟と会わなくなった。そうしたらいきなり電話で「姉ちゃん、オレ、胃がんで助かんねぇんだよ」だって。あれほど検診を受けろという私の忠告を「ひゃはは、バカ言うな。オレは大丈夫だ」と威張っていたあげくがこれかよ。

 その弟とスシローの少年の愚かで悲しい瓜実顔がダブるんだよね。そこまでして自分の存在を主張しないではいられないって、なんなんだよ。おい、少年! 田舎の町から初めて世に出たのが、悪ふざけ炎上では悲しすぎるって。

【プロフィール】
オバ記者こと野原広子さん/1957年、茨城県生まれ。ダイエットなどの体当たり取材が人気の、女性セブン名物ライター。65才。

※女性セブン2023年3月2・9日号

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