投資

「あのまま持ち続けていれば…」配当株投資家が“手痛い失敗”から学んだ売買のルール

 株式投資では、「いつ買うか?」というタイミングの問題が重要視されていますが、長いスパンで配当金を受けていく……というスタンスを崩さない限り、購入のタイミングを気にする必要はありません。

 株価の動きやタイミングに振り回されるのではなく、自分が買える状況だったら、淡々と買い続ける。配当株投資では、こうした姿勢を貫くことが何よりも重要だと思います。

 私が「株価の動向は気にする必要がない」と考えている背景には、もうひとつ別の理由があります。配当株投資では、そもそも株を売る必要がないからです。株価の動きというのは、株を売る時にこそ意味を持つものですが、私は株と不動産は「売る」ものではなく、その資産を「増やす」ものだと考えています。最初から売るつもりがないから、必要以上に気にしても意味がないのです。

 自分が持っている株が上がっていても、その「含み益」(買った時よりも値上がりして、売却すれば利益が出る状態)は、単なる「ぬか喜び」に過ぎません。逆に、株価が下がって「含み損」(買った時よりも値下がりして、売却すると損をする状態)が出たとしても、それは一過性の「杞憂(きゆう)」でしかないのです。

 配当金を積み上げていって、投資した元本(収益を生み出す元になるお金)を回収してしまえば、まさに「カネのなる木」のようなものです。株式投資の世界では、これを「恩株」(投資元本を回収済みの株)と呼びますが、元本を回収して、あとはその恩恵を受け続けるだけ……の株を、わざわざ手放す必要はありませんし、そのつもりもないのです。

買った株は手放さない

 株は「売るもの」ではなく「増やすもの」と私が学んだのは、手痛い失敗を経験したことがあるからです。リーマン・ショックの後ですから、今から15年くらい前のことですが、東京ディズニーランドを運営しているオリエンタルランドの株を手放してしまったのです。

 この株は株主優待を目的に買ったものですが、株主優待券を使うことに疲れてしまったため、諦めて手放してしまった株のひとつです。今から振り返ってみれば、優待券を使うのに疲れたくらいでは、絶対に売ることはありませんが、よほど面倒くさくなっていたのか、自分でも信じられない感じです。オリエンタルランドの収益性の高さは十分に認識していましたから、おそらく勢いで売ってしまったのだと思います。持ち続けていれば大変な利益を生んでくれたはずですから、完全な大失敗です。

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